「禁止」を「金」にする錬金術

こんな時におすすめ!

否定的な言葉を使ってしまう
ことばがきつくなる

普段の生活の中で、「~はだめ!」「やめなさい!」等、いうことはありませんか?

これらの言葉のみで、子どもに適応行動を示そうとしているのなら、それは間違いです。

あくまで「禁止」とは一時的な動作を抑制する効果しかありません。でも、使い方と考え方次第でとても大切な言葉に変化します。

例えば、こういう例がある。

電車ではしゃぐ子ども

子ども
(大きな声でおしゃべりしたり、走り回っている)
支援者
やめなさい!危ないでしょ!
子ども
はーい(怒られたことに驚き、ピタッと止まる)
支援者
(支援者は止まったと思い、それ以上何も言わない)
子ども
静かになったからよかったんかな。じゃあこれはいいのかな・・・?(違う遊びをしだす)
支援者
こら!何回もなにしてるの!!

支援者はその行動を「止めたかった」という考えのみでいると、子どもはその通り「止まる」ことに応じたので、そこで終わったと錯覚します。

これだと、何をしたら正解だったのかがわかりませんね。

ここでの目的を「止める」ことだけではなく、「この行動をする」ということを具体的に加えるやり方に変化すること

解説を含めて次の例で説明しましょう。

電車ではしゃぐ子どもにどう声掛けをするか(例)

子ども
(大きな声でおしゃべりしたり、走り回っている)
自分の世界にトリップしており、周りが見えていない。周りの人間に迷惑をかける危険があり、現実の世界に意識を引き戻す必要がある。
支援者
(危険性があるときは)止まりなさい!
ここでは危険性がある時として、「簡潔」で「指示が明確であり」、「一語で言い切りやすい」言葉を選ぶ。

止めるのが主の目的ではないので、危険性がなく指示を聞ける状態なら、ここはなくてもよい

子ども
(ピタッと止まり)はーい
突然の声掛けにより、一時的であるが行動が抑制される。
支援者
電車は先生と同じぐらいの大きさでしゃべりましょう。
また電車ではこけないように座るか、近くのものをつかむこと。
「声の大きさ」に関してはモデルとして職員の声を教える。

「走る」ことに関しては、「走ることを止める」のではなく「電車では止まっている状態を維持」することを伝える。

必要があれば理由も含めて伝える。

こどもが理解できる言葉を使って説明することが大切です。

なぜそうしないといけないのか、という理由は無限とあります。その子に響く言葉は何かを考えてみてください。

子ども
わかった!
職員の指示が的確で理解できるものであったため、その行動を示すことができる。

「禁止」の表現のみで適応行動を示すことは難しい。
なぜなら、止めることだけでは、良い行動をしているという感覚にならないし、それが正しいかわからない からである。

具体的な行動を示すことで、「今、これをしたらよいのか!」という気付きを得て、支援者が求めていることが明瞭に伝わるのです。

禁止の表現を、具体的な表現にするための一例を示します
よければ一つの指標として、見ていただけたらと思います。

「何をさせない」という考えではなく、「何をさせたいか」で伝え方を工夫することで、子どもはどう動くかの方針がわかるのです。ぜひこの錬金術を、試してみてください〇

The following two tabs change content below.
こご

こご

児童福祉施設職員 子どもの心理養育について日々発信しています。クマノミ生活は1年以上。